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2022年4月15日 ディボーション

ルカの福音書 9章


 私は「愛」という言葉が大嫌いだった。なんとなく偽善っぽい響きがして、うわべだけの薄っぺらい印象しか持てなかった。私自身が、両親から愛された実感を持てないまま育ったせいなのかもしれない。

 私は、愛のない家庭に育ったことを武器にして生きてきたように思う。

 自分に同情し、不幸を武器にしている以上、人生の問題は何ひとつ解決しない。自分に注目し、自分を憐れむ悲劇のヒロインの心が、本物の愛で満たされることはない。

 とはいっても、愛を知らない人間にとって、自分ではなく他者の気持ちを優先させることは容易ではない。自分に愛や思いやりが足りていない人ほど、相手に愛や思いやりを求めようとするからだ。どうしても自分を第一に考えてしまう。

 けれども、イエスは言う。

「だれでもわたしについて来たいと思うなら、自分を捨て、日々自分の十字架を負って、わたしに従って来なさい。」(23節抜粋)


 イエスは神の特権を捨て、私の身代わりとなるために十字架への道を歩まれた。

 私は自分の感情を捨て、神を第一とする道を歩まなければならない。且つ、自分以外の人を愛さなければならない。それが神の願いであり、神の手によって造られた人間の責任でもある。

 枕するところがなくても(58節)、親を葬ることができなくても(59節)、家族に別れを告げることができなくても(61節)、それでもイエスについて行きたいと思うなら、自分を捨てる必要がでてくる。

 自分を捨てるということは、自分を拒んだり傷つける人に対しての忍耐、相手を敬って自分がへりくだる謙遜、たとえ不愉快であってもその人を受け入れる寛容、そういった態度を貫くことなのだろう。悔しいとか、悲しいとか、惨めだとか、そういった感情を押しやる。それが、愛する・赦す、ということなのだろうと思う。


 大勢の人から拒まれ、弟子たちにも裏切られ、十字架につけられると知っていたにもかかわらず、強い意志をもって進んで行かれたイエスの覚悟が伝わってくる51節。

「さて、天に上げられる日が近づいて来たころのことであった。イエスは御顔をエルサレムに向け、毅然として進んで行かれた。」


 本来なら、十字架につけられるのは他ならぬ私だ。けれども、エゴや欲や悪意や憎悪や嫉妬や意地悪、ドロドロした汚い私の罪を全部引き取ってくださったイエスの愛によって、私の罪は赦された。そのことに感謝をして祈ります。

 

 愛するイエス様。あなたは、私たちが経験する痛みや苦しみや葛藤を何もかも知り、いつも隣にいてくださいます。守られている感じがして、とても心強いです。

 あなたは、「愛」という言葉の重みと深さを私たちに教えてくださいます。あなたの十字架の愛によって、今日の自分が生かされていることを感謝します。

 愛が、あなたと私とを結び、私と他者とを結ぶ。そのことをいつも心に留め、愛を実践する者でいられますように。一人でも多くの人が、本物の愛に気づくことができますように。主イエスキリストの御名によってお祈りします。アーメン

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